決まった
電話がかかってきた。
メール便の配達員を募集している会社の人からだ。
10分間くらいのやりとりをした。
僕は、
・現在ほかの仕事はしていない。
・毎日でも働けます。
・年賀状の配達のバイトをしていた事もあって、地元の地理はバッチリです。
とアピールした。
すると。
「このまま問題がなければ、お仕事をお願いしようと思います。それでは一度事務所までお越しいただけますか?」
という返事をいただいた。
僕はよろしくお願いします、と高まるテンションを抑えながら返事をし、通話を切った後、ガッツポーズを作った。
それで、きのう事務所へ行ってきた。
前日、緊張して眠れなかった。
朝になって頭が痛いし、身体もだるい。
何となくネガティブ。
実際に面接をして「やっぱり今回の話は無かったことにしてください」といわれるかもしれない、などと考えてしまう。
いままで何度かアルバイトを不採用になってきたので、臆病になっていた。
その時点で、僕は気付いてしまった。
まだ、自分の病気の事を一切説明していなかった事に。
不安を抱えたまま、自転車で事務所へ向かった。
今までアルバイトの面接で、決まって聞かれるのは「なぜ今まで働いていなかったのか?」という質問だった。
正直に病気の事を説明すると、曇った表情をされる事が多かった気がする。
不採用の理由を全て病気のせいだ、というのも違うと思うけれど、
少なくとも働く上でプラスに働く要素ではないと思う。
もし、正直に病気の事を伝えたら良く思われないんじゃないか?
不安が広がる。
余裕がなかった。
……なら、隠し通すか?
そんなズルい考えが浮かんできた。
けど、正直に話そうと思った。
嘘はつきたくない。
それに、できるなら長く働き続けたい。
だったら、なおさら隠し事はするべきじゃないと思った。
面接に臨んだ。
担当の人は穏やかな人だったので、幾分か緊張が和らいだ。
病気の事を話すと、
「仕事さえきっちりやってもらえるなら問題はない」という事だった。
担当の人に「気にしすぎなくていいですよ」と気を使われてしまった。
余計な気を使わせてしまった事が申し訳ないと思った。
たしかに病気の事うんぬんよりも、雇ってくれる側の人が考えるのは「この人はちゃんと働けるか」という事だと思う。
だから、僕は病気の事をきちんと説明して、その上で堂々と「今の自分は責任を持って働けます」と主張すればよかったのだと気づいた。
僕は今までの面接で無駄に弱気になっていた。
それが良くなかったのだとわかった。
面接の結果。
採用、という事になった。
今度の日曜日に実際の業務説明を受ける事になっている。
それから、本格的に仕事が始まる。
やっと仕事が決まった。
正直、わからないことだらけで不安もある。
けれど、やっぱり嬉しい。
精一杯頑張ろうと思う。
それでは、また。