外人さん
午前中。
朝風呂に入って、掃除機をかけ、皿も洗った。
時間ができたので、
僕は出かける事にした。
買い物へ出かけた。
町が運営している無料バスに乗って駅前まで。
駅の近くに大型ドラッグストアがあるのだ。
粉のインスタントコーヒーを切らしていたので、その調達へ。
今日は張り切っておしゃれをしていった。
白いボタンダウンシャツに赤いネクタイ(チェック柄)、その上に紺のカーディガンを着た。ボトムスはスキニーのジーンズ。靴はヒョウ柄のスニーカーを履いた。
髪の毛もワックスをつけて動きを出した。
シンプルすぎるかと思ったので、ウォレットチェーンも装備して行った。
はっきり言って僕にはおしゃれがほとんどわからない。
だが、今日は自分なりにおしゃれを楽しんだ。
バス停は駅前なので人が多かった。祝日だったのも関係してるかも。
タクシー乗り場にはスーツを着た人。
これから都市部に向かうのか、おしゃれっぽい女の子たち。
駅員さんに何かを尋ねるおじいさんもいた。
そんな風景を見ているだけでも、刺激があっておもしろかった。
買い物が終わった後、バスが来るまでにそうやって時間を潰していると、人に声をかけられた。
ちょっといいですか?と。
ふりかえると、女性がいた。しかも外人さん。
道とか電車の時間を聞かれるのか、と思っていたら……。
「あなたかっこいいですね。お話しませんか?」
……かっこいい?
ほめられた?
僕は、
マジか!?どういうことだ!宇宙の神秘だ!ミラクルがやってきた!
と、激しく動揺した。
で、話した。
いい天気ですね、から始まって、
私には生意気な弟がいます。へえ、僕には姉がいます、とか、
この辺に住んでいるんですか、日本語うまいですね、とか。
とにかく緊張して、焦った。
しどろもどろにならないように、話が続くように、ターンを意識して喋った。
「今は僕が喋るとき」と「今度は外人さんが喋るとき」というように。
会話自体は続いた。
しかし、だ。
仕事の話になって僕が「働いてない」というと態度が急に変った(気がした)。
一気にテンション下がった。
その後外人さんは腕時計を見て「いかなくちゃ」と言って去って行った。
なんだったんだろう。
やっぱり働いてない男は問題外なんだろうか?
でも、ファッションを頑張ったのは報われたんだろうか。
あなたかっこいいですね、という言葉が頭から離れない。
もっとファッション頑張ろう、と決意した1日だった。
それでは、また。