hatopoppo_25's blog

気づけば普通の日記になっていました。

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負けていた

今まで僕は負けていた。

 

世間に負けた?

貧しさに負けた?

いや、ちがう。

コンビニの店員さんに負けていた。

 

その人は大柄な女性だ。

僕より大きい。

茶色い髪で、いつも頭の上にお団子まとめをしている。

とにかく元気。

しょっちゅう、お客さんと喋っている。

表情がくるくる変わる。

かわいい、と思う。

 

あの店で、あの人だけが使っているスキルがある。

それは……

「目を見てニコっ。」だ。

レジでお釣りを渡す時、お客さんの目を見てニコって笑う。

ふくよかな体型と相まって、癒しの力がある。と僕は思っている。

 

普通にコンビニに通うようになって、時折目を向けると、お客さんに対して、あの人が「ニコっ」ってしている事に気づいた。

最初その技を食らった時、僕は戸惑った。

接客業としては当たり前なのだろうか?

だが、僕はすごいと思う。

自分だったら気後れして、あんなことはできないと思う。

誰に対しても、ほぼ100パーセント技を決めている。

さらに言うと、わざとらしさが全然ない。

かなわない、と思う。

 

そんなわけで僕は気圧されていた。

僕だけかもしれないが、人にはそれぞれ「オーラの力」というか、そこにいるだけで発しているものがあると思う。

僕はそれが苦手だ。

いつも押し負けている。

それに、

女の子と目を合わせるだけで緊張するのに、ニコって笑われたら、動揺してしまう。

僕はいつも、うつむいたり、目を逸らしたりしていた。

 

しかし、いつまでも負けていられない。

僕は戦う事にした。

 

きょう、コンビニへ行った。

買い物をする。

お釣りをもらう。

目が合う。

耐えた。

そして、「どうも」って言えた。

ささやかな抵抗かもしれないけど、出来た。

わずかながら、押し返せた気がした。

 

対人ストレスというものは一朝一夕に消えるものではないと思う。

なので、僕は今日みたいに少しずつ慣れて行こうと思う。

それでは、また。