催眠術
僕は知らない人に避けられる。
見た目に関して、色々つっこまれる。
笑われる事もある。
正直、こころが傷つく。
でも、文句を言っててもしょうがないので1つずつクリアしていくことにした。
ぼさぼさだった髪は切った。
服装は学習によってのりこえる。
残りは2つ。
会話と視線恐怖。
一気に全部は解決できそうにない。
そこで、
今日から視線恐怖を克服する事に取り組むことにした。
自意識過剰になるから駄目なんだと思う。
そこで、僕は作戦を考えた。
「自己暗示作戦」
一時期、僕には眠れない時期があった。
その時、催眠術の本を読んで乗り越えた事がある。
具体的には、「腕がだんだん重くなる」「呼吸がどんどん楽になる」「お腹が温かい」などの言葉を思い浮かべているうちにリラックスし、気付いたら(?)眠りについている、というやり方だ。
これはうまくいった。
なので、
それを応用することにした。
僕は交通量の多い通りまで出て行った。
自転車もけっこう走っていた。
こわい。緊張する。
が、気を取り直して歩きだす。
視線はまっすぐ5メートル先へ。
心の中で暗示の呪文を思い浮かべる。
「人目が気にならない。人目が気にならない。人目が……」
少しの間歩き続けた。
……。
全然落ち着かねえ!
緊張は解けないし、何かつらい。
……ものすごく疲れた。
たぶん顔が引きつってたと思う。
最後の方はずっと地面を見ていた。
完全敗北。調子を崩す。
帰ってきて不穏時用のヒルナミンを飲んだ。
きつかった。
なかなか戻ってくる事が出来なかった。
これが現実なのか?
だが、まだあきらめない。
負けるものか。普通になるんだ。
それでは、また。